| 川辺川ダム問題の入門編として作成していた資料の内容を改訂しました。 このメールは、川辺川環境アセスに協力して頂いた個人の方にメールさせて頂きまし た。転載歓迎ですので、沢山の方々にこの問題を伝えて頂ければと思います。 --------------------------川辺川ダム問題入門編:転載歓迎 「川辺川ダム問題入門編」 ●川辺川ダムとは 日本三大急流で知られる熊本県球磨川の上流、川辺川へ三十数年以上も前に建設計画 された、高さが107.5mの巨大なダムです。 治水(洪水防止)、利水(農業灌漑水利用)、水力発電が建設目的とされています が、目的の全てに疑問符がつきまとい、今や無駄な公共事業の典型に挙げられる事業 となっています。 急流下りで有名な球磨川の本流には、既に3基のダムが建設されていますが、最大の 支流である川辺川の豊富な水量と清流により、辛うじて現在の球磨川の水質は維持さ れています。 ●ダムが原因の水害を建設の根拠に? 人吉地方は、昭和40年7月に家屋の損壊・流出1281戸、死者6名を出す大水害 に襲われました。川辺川ダムの必要性を説く時、大きな被害を出したこの洪水(流域 平均2日間雨量は365mm)が引き合いに出されます。これを基に、建設省は80 年に1度の大雨(流域平均2日間雨量440mm)が降れば、人吉でピーク流量70 00?/Sの大洪水がおこるのでダムが必要と主張しています。1995年7月には8 0年に一度の豪雨(流域平均2日間雨量447mm)が降りましたが、この時のピー ク流量は3800?/Sでした。専門家からは、建設省が設定した基本高水流量は過大 であるとの指摘がなされています。 昭和40年7月に人吉地方を襲った大水害では、わずか30分で2mも水位が上昇す るという、過去に例のない急激な増水により貴重な人命が奪われています。まさにこ の時、球磨川上流にある市房ダムは満水状態となり、ダム湖の水を下流に放水してい ました。 当時の被災者は、市房ダムの過剰放流が大水害を引き起こしたと、水害体験者の会を 結成し被害を語り継いでいます。しかし、住民がデータの公開要求をしても、水害当 時のダム放水データが公表されないので、疑惑の真相は闇の中です。川辺川ダムの建 設の根拠とされる水害が、市房ダムの過剰放水により引き起こされた疑いが強いと言 うのは、何とも皮肉な事ではないでしょうか。 ●疑問だらけの治水目的 川辺川ダムは「鍋底調整方式」という、水量調整時間が極めて短い洪水調整方式を採 用しています。 これについて、1999年に河川工学専門家が、過去の降雨データを基にして川辺川 ダムの洪水調整能力について検討を行った所、驚くべき事実が判明しました。 昭和57年7月と平成7年7月の洪水では、川辺川ダムは満杯になり洪水調節が不能 になってしまう事実が明らかとなったからです。さらに、鍋底調整方式は建設省の内 部資料で「一見調節効果が大きく見えるが、実際の操作に当り困難な点が多いので、 原則として採用しないのがよい。」と記述されていますが、建設省自体も望ましくな いと認める方式を採用している根拠についても、同省からは明確な回答がされませ ん。また、川辺川ダムには、非常用洪水吐という放水門が設置されています。万が一 これを使用した場合、下流域はダム放水による大水害に見舞われる可能性が高いので すが、これについての質問に対しても建設省は納得のいく説明をしていません。 河川工学の専門家からは、基本高水量の再検討と総合治水対策(遊水地の確保や堤防 嵩上げなどの複合対策)を行う事で、ダムに頼らない治水計画が可能である事が提案 されています。 国際的に見ても、アメリカなどでは、ダムは治水・環境・財政のいずれの面でも問題 が多いとして、既存のダムを撤去する工事を進めているほどです。 ●これでも建設目的?(発電) 川辺川ダムに併設される水力発電所で、1万6500kwの電力が新しく生まれると 宣伝されています。ところが、既にある3つの発電所がダム湖への水没等で閉鎖され ます。この喪失電力が1万5900kwもあり、わずか4%の発電量増加にしかなり ません。しかも、3発電所閉鎖に伴い、残り1個所の発電所も閉鎖が検討されている ようです。そうなれば、ダムを作る事で、かえって発電量が減少してしまうという奇 妙な状況になります。 既存の発電所が老朽化しているとの反論もありますが、いずれの発電所も民間企業の 資産なのです。私たちの税金で立て替えるべきものなのでしょうか。 ●農民2000人以上が裁判を! 利水(農業用水)事業に関しては、建前上は対象農家からの実施請願に基づき、整備 事業を行う事になっています。対象農家が約3900戸の川辺川利水事業に対して は、補助参加を含めて2000人あまりの農家の方々が、農林水産省と裁判で争って います。この裁判の中で、国営川辺川土地改良総合事業基本計画を変更の際に、対象 農家の同意署名を集めようとした行政側が、負担金があることを説明しなかったり、 事業中止の印鑑だとウソの説明をして署名捺印をした農家がある事が判明しました。 極めつけは死んでいるはずの72名の故人の署名捺印があったり(行政は三途の川の 向うまで顔が利く?)、他人の署名が500人以上も含まれている事が次々に明らか になりました。2000年9月には熊本地方裁判所での判決が出ましたが、司法の職 責放棄とも取れる、驚きの「原告の請求棄却」でした。裁判所も「土地改良法で定め る対象農家の3分の2以上の同意がある」としながら、対象農家と認めた原告と補助参 加者の合計は40%を越えており、矛盾した判決を出しました。この不当な判決には 世論の批判も大きく、農家の人達は福岡高等裁判所に控訴して、自らの正しさを訴え て、裁判継続中です。 また、裁判まではしないが、、、、、、と言う農家の中でも、利水事業への参加辞退 届けを出す方々が次々に出て来ており、これらの状況を見ても、この利水(農業用 水)事業がとても農家からの要望に基づき、合法的に進められた事業とは思えませ ん。一体誰のための事業なのでしょうか? ●沈む子守唄の里・五木村 哀愁のある調べで全国に名高い「五木の子守唄」、その発祥の地が水没予定の五木村 です。 村の人達は、ダムの建設計画に対しては、裁判を起こしてまでダム絶対反対の立場で 頑張っていらっしゃいました。しかし、長い闘争の歴史の中で五木村の人達は、まさ に「苦渋の選択」としてダム建設を受け入れられました。自分の故郷が泥沼に沈むの を見て喜ぶ人は誰もいないでしょう。 川辺川ダムの建設が中止になった際にも、五木村が過疎の村として取り残される事が 無いように、豊かな村として持続的に発展していけるような、充分な財政的な措置を 行って、立村計画を支援していく事が重要だと考えられています。 ●隠されたクマタカ 川辺川流域には、複数のクマタカのつがいが生息していますが、建設省はこの事実を 知っていたにも関わらず、ダム事業審議委員会の答申結果に影響が出る事を恐れて か、事実を報告せず隠していた事が明らかとなりました。結局ダム審議会は「ダム建 設は妥当」と答申しましが、この審議会自体も市民への公開さえ拒否され、非公開で 密室審議されており、この答申を錦の御旗として建設推進を主張する建設省に対し、 根強い不信感があります。さらに、ダム本体の石材採石用の山(原石山)がクマタカ の生息に欠かせない場所である事が、自然保護協会とクマタカ調査グループの共同研 究調査で明らかとなりましたが、原石山の位置を変更しようとしない建設省と審議中 です。 ●危険な地質状態 ダム湖上流域はジュラ紀の付加体堆積物が分布しており、急峻な地形を形成していま す。ダム湖に水が貯められると、地下水位の上昇等により地滑りをおこす危険性があ ります。また、ダム本体予定地の真横に貫通している四浦トンネルにはおびただしい 亀裂が発生しており、地質専門家からはダムサイトの岩盤強度不足と地滑りの可能性 がある事が指摘されています。 建設省は、地質的に問題無いの一点張りですが、専門家の指摘通り2000年の春に は工事現場で大規模な斜面崩落が発生して大きな問題となりました。 ●日本一の天然尺鮎と球磨川漁協 日本一の呼び声高い球磨川の天然鮎。尺鮎と呼ばれる巨大な鮎を求めて、全国から釣 り人が訪れます。中流域のダムが川に与えたダメージを肌身で知っている漁民の人た ちは、ダム建設絶対反対を表明しています。ところが最近は、漁協内部のダム建設推 進派の動きが活発化しており、組織に激震が走っています。組合員全員へのアンケー ト結果が示すように、ダム建設に反対の組合員さんが多数を占めるのに、なぜこのよ うな状況になったのでしょうか。 それは、組合内部のダム建設推進派がなりふり構わぬ手口で強引に補償交渉入りを急 いでいるからです。ダム建設に反対している邪魔者を解任するために仕組んだ総代会 では、ダム建設推進派の役員らは前日にこっそり辞任して、反対派の理事だけを解任 するなど、人の道を外れた手口を使っています。ダム推進派は補償交渉についての組 合員全員参加の総会も、自分たちに不利になる事を恐れて、法に違反してまでも開催 を拒否するなどの謀略を行っています。このような動きの中で、現在の球磨川漁協の 新執行部役員は、大半がダム建設推進派で占められ、建設省の意向に沿う形で、ダム 建設前提の補償交渉入りの工作を急いでいます。 しかし、お金で心を売り渡さないダム反対派の漁民の良心は、市民がしっかりと見て います。ダム建設に反対する漁民の人達は「漁民の会」を結成し、川を守る決意を新 たに活動しています。 また、法的にも、漁業権を持つ漁民全員の同意無しに本体工事は出来ません。つま り、漁民一人一人が補償交渉に同意をしないので、30年以上経過しても本体工事に 着工出来ていないのです。 ●危機的な財政状態 当初350億円と見積もられたダム事業費は、見直し毎に増え続けて2650億円に まで膨張しています。利水事業や砂防ダムなどの関連事業費の総額は4000億円を 越えていますが、未だダム本体着工もされておらず、今後、支出は更に増加する可能 性があります。熊本県では、平成4年に1298億円あった基金も赤字補填のため貯 金の95%を取り崩しており、公債比率も21.3%と劣悪な値、県債の残高も1兆 円を大きく越えて、県財政はまさに火の車となっています。 国民一人当たりの債券発行残高(借金)が500万円を大きく超えている現在、必要 のない事業は適切な見直しを行わないと、後の世代に大きな負担のみを残す事態に なっています。 ●日本一の清流と豊かな自然 川辺川は環境庁により水質日本一に認定された名実共に日本一の清流です。夏になる と大勢の人々がカヌーやラフティング、水遊びに訪れます。 流域では、絶滅に瀕しているカワウソらしき水生動物も目撃され、新聞を賑わすな ど、豊かな自然が残っています。中でも九折瀬の石灰岩洞窟には世界中でもここだけ にしかいない「ツヅラセメクラチビゴミムシ」などの貴重な生物が生息しています。 水没地域内には、絶滅危惧種の植物も分布しており、貴重で豊かな自然が残されてい る、川辺川流域は国民の財産と言えるでしょう。 ●環境への影響はどうなる? 現時点では、明らかになっていません。 1999年6月に施行された「環境影響評価法」に基づく環境アセスメントが、残念 な事に実施されていないからです。法による環境アセスが行われていないため、建設 省から発表された環境関連の資料については、環境保護団体や専門家からも「内容が 恣意的で客観性に欠ける」と非難されています。例を挙げると、大きな影響を受ける ダム下流の地域の環境への影響を全く調査していなかったり、固有種が生息する九折 瀬洞窟についても、満水時に80−90%が水没すると言うのに、何ら具体的な保全 策が明らかにされないなど、大変深刻な問題を抱えています。 これについては、163団体もの環境保護・市民団体が「本体着工前に環境調査のや り直しを求める要望」を建設省に行うなど、大きな関心が寄せられています。これほ どの大事業で環境への影響が適切に調査・評価されずに事業が進められているのは大 きな問題です。広大な面積を水没させ、流域や下流の海に多大な影響を与える川辺川 ダム事業に、法に基づく環境アセスメントの実施を求める請願署名が全国で集められ ている最中です。 ●川辺川ダム事業は本当に必要か? これだけの疑問を抱える事業ですが、行政側からの情報が不足しています。 市民団体などからの質問書に対する行政側からの回答を見ても、誠実に答えていると は思われない内容が返ってくるなど、残念ながら充分とは言えない状況です。 本来ならダムの恩恵を受けるされる人吉市(有権者約3万名)でも、市民のうち1万 8934人は、川辺川ダム建設見直しを求める陳情書に署名するなど、地元住民の多 くがダム建設に疑問を持っています。貴重な自然と清流を破壊してまで、ダムにこだ わるのではなく、遊水地などの総合治水対策を取る事をどうして考えないのでしょう か?川辺川ダムが、流域住民の為に本当に必要かを客観的・公正に判断出来るよう に、行政側は積極的な情報公開を行い、環境への影響調査や費用対効果、代替案など の作成・公開をきちんと行う義務があるといえます。 ●広がる市民ネットワーク 川辺川ダム問題については、流域の多数の市民団体がそれぞれ独自の取り組みを行っ ています。 私たちと、この問題について考えてみませんか?あなたに出来る事や仲間もきっと見 つかります。 ◆インターネットで連携しよう!(川辺川メーリングリストに参加しませんか) 川辺川や全国のダムの見直し活動に関する話題、楽しいイベントや遊びなど、盛りだ くさんの情報がメーリングリストでやりとりされています。(入退会自由、無料) 参加を希望されるかたは、以下のホームページからご自分で登録することができま す。 清流川辺川を守る県民の会ホームページ http://kawabe.technologic.co.jp/ ◆この資料は、「美しい球磨川を守る市民の会」にて作成しました。 私たちの活動に興味のある方は下記連絡先までご連絡下さい。皆さんの居住地域や興 味のある内容により、各地域の市民団体をご紹介させて頂きます。 ◆ 美しい球磨川を守る市民の会 ◆ 事務局連絡先 〒866−0895 熊本県 八代市大村町 804−1 二見 孝一 電話&FAX:0965−43−1051 kfutami@kis.co.jp 私たちは、この清流を次の世代に残すための活動を行っております。本資料の内容に ついてのお問合せや、私たちの会に入会されたい方(年会費1000円)は下記まで 連絡お願い致します。 また、ご家庭に眠っているテレフォンカードや切手、葉書、図書券などがありました ら、カンパとして送って頂ければ大変助かります。皆様のご協力をお願い致します。 振込先:郵便局 口座番号 01950−1−13560 口座名義 美しい球磨川を守る市民の会 -----------------------------------入門編ここまで |