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01年知事選総括について

●2001年9月8日

                                    県民の会からの提案

 今回の知事選では期待された「勝手連・無党派の風」は吹かなかった。知事選総括
は冷静で客観的な評価分析が求められているが、同時に、この闘いで得た教訓と成
果についても明らかにする必要がある。以下、主な問題項目で総括を試みる。

(1)現職の壁は厚かった。

 「小泉構造改革」ブームを背景に、あらゆる県下の既存組織一県議会・市町村議会
を始め経済界、労働組合、すべての地方銀行、農林漁業から教育、文化関係を含む
各種団体を網羅した石川陣営の支持基盤は確かに万全、盤石に見えた。彼らはまた
加えて「石川御用新聞」と「翼賛メディア」を最大限活用することができた。2期8年の現
職候補がどれほど無能で無責任であっても、官僚組織と根深い保奪層に利益誘導の
網をはりめぐらせてあれば、知名度の高さにあぐらをかいて完勝できたはずであった。
 しかも企業・各種団体の「ぐるみ澤挙」「縮め付け選挙」を強烈に実行したのだから、
どんな取りこぼしもないはずだった。
 しかし石川の約103万という得票の実態は何だったのだろうか。
 前回・知事選の結果を今回の石川の得票に対比すれば一つの大きな事実が浮かび
上がる。前回の石川得票数は約87万票で、得票率は約74%であったのに対し今回
は約103万票で得票率は約57%と17ポイント低下した。マスコミの出口調査によれ
ば、この票には約20%の県民が空港に反対だが石川に入れたという部分が含まれて
いる。しかも今回石川以外の4候補の得票合計は約77万票となる。この数字は、現職
石川の盤石の強さではなく、全く逆に石川県政に対して県民の離反が進行していること
をものがたっている。
 また74市町村中、石川が前回得票率を越えたところはわずかに1町だけである。これ
は石川が他の73市町村のすべてで票を減らしたということであり、これも県民の離反
傾向を裏付けている。これらの数字からも、水野侯補は勝利を果たし得なかったとはい
え、官僚的ゼネコン県政の大きな動揺がくっきりと浮かび上がってくる。県政のあり方に
ついて幅広く県民が疑問を抱き「石川ではもうだめだ」という危険信号を発したということ
ができる。

(2)空港問題は最大の争点であった。しかし……

 空港建設の是非は、知事選においても最大の争点であった。石川が住民投票に賛成
したことは、この問題を争点とすることが不利で争点ボカシを図ったものであることは疑
いない。それにもかかわらず、マスコミを含めてこれを最大の争点とする一般の認識は
変わらなかった。
 空港建設は、官僚的で無責任な石川県政の体質を集約的に示すものであり、県民生
活を破壊する財政破綻の最大の元凶である。県民有権者がこれを正確に認識していた
ら、知事選の投票行動においてもそれに沿った結果が表れるのが当然である。しかし、
マスコミの世論調査によっても、空港建設には「反対」が「賛成」を圧倒的に上回るのに
石川支持が多数を占め、事実、石川が多数の得票で三選した。選挙に際しての価値判
断におけるこのような著しいネジレ現象は、現下の県民有権者の政治意識の水準を示
すものであるとともに、体制に対する批判や現状改革を避けがちな県民の政治意識に
対して、われわれはあらゆる機会をとらえて意識改革を促していく必要があることを示し
ている。厚かったのは、「現職の壁」である以上に現状維持的な県民有権者の政治意
識であったといわなければならない。
 これに比べれば次元は異なるが、選挙運動における街宣やビラなどにおいて、空港問
題を中心に据えつつ、石川が建設を強行してきたことが県政全般、とりわけ民生福祉に
どう関連し影響しているか、分かりよく示す表現が不十分であったことも留意しなければ
ならない。前もってその効果的表現を十分練り戦略的な共通認識を確立した上で、当初
から敢然として「空港建設中止」を強力に訴えていくべきだったであろう。

(3)敗因はなにか、そこにどんな教訓があるか

 現職候補と底深い保守王国静岡という所与の条件下において、水野候補は知名度の
低さ、出馬の大幅な遅れ、確たる支持基盤を持たないことなど、大きなハンディを負いな
がら闘いを挑んだ。
 それはゼロからの挑戦といえなくもない。しかし、われわれには前回知事選において空
港反対を正面に掲げ独自侯補を擁立して闘った経験と実績がある上、その後も反対地
権者や地元住民とともに空港はいらない静岡県民の会を中心に絶えず世論に働きかけ、
訴訟を闘い、県当局との対決の全面に立つという具体的な闘いを積み上げてきた。これ
らの闘いを通じて、県下の労働運動や多くの市民グループの運動と結び、地方議員ネット
ワークと連携してきた。そして、これらの力の一大結集として空港の是非を問う住民投票
請求署名運動にこぎつけ、その結果、かってないきわめて大きい成果を勝ち得つつある。
 実際、読売新聞のアンケート調査によっても県民の73%が住民投票に賛成との結果が
示されている。しかし、この力を知事選において統一した勢力としてまとまることはできな
かった。この点で、県民の会がスター卜時から進めてきた努力について再検討と反省が
必要であるが、客観的事実としてここに知事選敗北の一つの理由が存在している。
 また水野候補擁立にあたり空港反対派が前面にでない戦術を採った経緯があり、空港
問題を最大の争点に水野陣営の闘いを組み立てるという一貫した方針に立っことができ
なかった。この状況を作り出した主な要因は、寄り合い所帯の域を出ることのなかった選
挙本部ではなく、空港反対派とりわけ県民の会の力量と意志のうちにあるというべきであ
る。このことは、現に闘われている住民投票条例成立に向けた取り組みをはじめひきつ
づく県当局との新たな対決の上でも厳しく問われる課題である。
 一方、住民投票請求署名運動の成功を知事選に結びつけようとする意志と要求は受認
者に数多く存在していた。これはごく自然な意識であるとともに新たな可能性を提示するも
のだった。しかしこの結びつきは部分的なレベルにとどまった。このために県民の会は独
自にキャラバンを組織したがこれも東部の一部分にとどまった。それでも住民投票請求署
名運動の成果ははっきり数字に表された。(別紙に示す)
 未定形勝手連の地域的ばらつきやまとまりのなさは仕方ないとしても、住民投票請求署
名運動の経験は現時点においても十分生かすべきだろう。また、各勝手連が今後、空港
反対運動の新たな拠点としてどのように闘っていくかが問われているし、その組織化は県
民の会の重要な役割として引き受けなければならないものである。同時に県下各地にたく
さんの勝手連が生まれたが、この強化拡大が今後の空港反対運動を大きく左右するとい
っても言い過ぎではない。ただし、それには一定の時間と県民の会を中心に空港反対派
全体の努力が必要とされる。他方知事選の中で新しく生まれた「勝手連」に対して提案さ
れ計画されている 「勝手連連絡会」がどのような性格と目標を持つのか明らかでないが、
未定形のままの勝手連連絡会は、今後予定される各種選挙に対応しようとするとき、その
末定形的性格を越えて独自の役割を担うことができるかもしれない。
 しかし、現時点ではこの想定にかなりの無理があるということも事実であろう。したがって、
各種選挙に対応しようとする場合、その時々の諸条件をふまえて、必要な体制が再構築さ
れるべきと考える。
 こうして究極の敗因はわれわれが所与の条件を越えるまでに至らなかったことに尽きる
が、これを乗り越える課題はわれわれ全てにとって共通のものとして確認されるべきであ
る。
 闘う新しい主体はまだ整っていないが、今回の知事選は空港阻止に向けて一段と大きな
県民運動が発展する畳かな可能性を作り出した。われわれがこれに自信を持っことによっ
て、県民の自立した闘いが広がり、地域と地域を結び、官僚的ゼネコン県政による空港建
設を中止に追い込むまで闘うことができると確信する。
 石川県政はこの先も空港建設をはじめ。県民の生活破壊をもたらす数々の悪政を続行す
るにちがいない。われわれは住民投票条例案を二枚舌とペテン的手口で葬り去ろうとする
石川県政に対して、県下で様々の課題と取り組む全ての人々とともに、時代に逆行する官
僚的ゼネコン行政を必ずうち破るであろう。

                                         2001年9月8日