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空港住民投票条例案の否決に対する声明

●2001年9月13日

                        空港はいらない静岡県民の会幹事会

1.住民投票条例実の否決は民意を踏みにじる暴挙である。

 この住民投票の直接請求は、法定成立要件を遥かに越える署名をもって成立した。県議
会がこれを僅かな審議をもって葬り去ったことは、県民の切実な民意を頭から踏みにじる
暴挙である。否決の理由として挙げるところはことごとくナンセンスであり、真の理由は
住民投票が実施された場合「建設反対」が多数を占めるのを恐れることに尽きる。また、
この議決を安易に容認する石川知事の感度は、先の知事選挙における公約を反古にする破
廉恥きわまる行動である。
 直接請求は、代議制民主主義が正常に機能していないからこそ、それを補正するため認
められている制度である。その請求が、正常に機能していない代議制機関自体によってい
とも簡単に否定されることは民主主義の自殺行為である。自治体の機関の現在の構成その
ものを変更しようとする首長や議会のリコールとは異なり、特定の事案に関する賛否等に
ついて民意に問おうとする直接請求についてまで、議会が否決することを認める地方自治
法の現行親定には重大な穎間がある。
 われわれは、全国的な世論を背景に、県民有権者の1割になんなんとする直接請求署名
者とともに、この県議会の暴挙と知事の破廉恥な行動を厳しく糾弾する。

2.知事は、恥を知るならば住民投票実施のために努力し続けるべきである。

 石川知事は空港住民投票に賛意を表明した記者会見(5月18日)において、空港建設
については県民の中に大きい意見の相違があるので県民の直接の意思表示によるのが民主
主義の大原則であること、続行・中止は住民投票によることが最善であり、それによって
「決着」をつけたいこと、住民投票の結果には従うこと、住民投票の「実施」まで空港本
体部の新規工事を中止し凍結すること等を明言し、「空港建設の問題については今後、県
民の決定に委ねるというのが今度の私の選挙の公約になる」と言い切った。
 知事はまた、この記者全見において「(議会が)可決して(住民投票を)やっていただ
くように、私も直接請求をされた方々と思いは同じであります」と述べるとともに、その
後、知事選挙の結果について、空港問題についてまで信任されたものではないと受け止め
る旨を表明している。
 知事のこれらの意見は、事の性質上、軽々に変更できるはずのものではないことは言う
までもない。知事が真に空港建設の是非を住民投票によって決することを望むならば、県
民が直接に意思を表明する住民投票の正当性と必要性について県民に詳細に説明した上、
あらためて独自に住民投票条例案を作成して議会に提案し、県民一般に訴えることによっ
て投票の実現を図ることも可能である。われわれは、知事にはこのようにして住民投票の
実施に漕ぎつける道は閉ざされていないと考える。これに反して知事が、条例実の否決を
絶対視しここで住民投票に見切りをつけるならば、知事は、当初から知事与党等と示し合
わせて、県民を卑劣な詐術にかけたと言われても仕方がないであろう。
 知事が「住民投票賛成」をトリック呼ばわりされるような不名誉な批判を避けようとす
れば、当然、あくまでも住民投票の必要性を広く県民に訴えて執拗に実現を追求し続ける
べきである。愚直なまでのそうした努力こそが、県民に対する誠意というものである。

3.県民合意の不成立のまま建設を続行することは知事自身にとっても無謀である。

 知事はまた、上記の記者会見において、公共事業をめぐる国民の見方に大きい変化があ
るとの認識や、この空港推進の過程において住民参加等に不足があったと認め住民投票に
よってそれを補正したいという意思や、それとは別の機会に、この空港建設は今のまま行
けば「森内閣」にも比すべき支持率の低い空港になるという深刻な懸念などを表明してい
る。
 知事のこれらの発言については、われわれも概ね同意見である。それ以上に、現下の経
済社会情勢から見れば、仮に、建設推進派である知事自身の立場に立ってみても、住民投
票も実施しないまま建設を続行することは政治的にも絶大な危険をはらむ無謀きわまる方
針と言わざるを得ない。自民党始め投票条例案の否決を主張した人々は、多数県民の切実
な民意を踏みにじって恥じないばかりでなく、知事の意図するところすら、よく理解する
ことができないのであろう。
 否決を主張した自民党は「検証委員会」の設置を提案しているが、それは次項に述べる
ように、投票条例案否決に対する世論の批判と非難をかわそうとする姑息な狙いに出たも
のである。この空港について真に「検証」が必要なのは「県民の支持・不支持」である。
その「検証」は住民投票によってのみ可能である。その「検証」を避ける組織と作業は、
住民投票のスリカエであり、「詐術の上塗り」のようなシロモノである。
 この空港建設が、県民の合意が成立しているというにはあまりにも程遠いものであるこ
とは、たとえばマスコミ各社による県民世論調査や県職員組合による職員の意識調査の結
果によっても明らかであり、それは知事自身も承知しているはずである。詐術の上に無謀
を重ねるようなことは、知事自身、墓穴を掘るに似たものと言わざるを得ない。

4.「検証委員会」の設置は県民合意を装うための小細工である。

 自民党が知事に対し入れた「検証委員会」の設置は、重ねて言うが住民投票条例案否決
に対する世論の批判と非難をかわそうとする意図に出たもので、住民投票の「すり替え」
の策謀以外の何ものでもない。それは、県が強引に進めてきたこの空港建設に、これから
はさも県民の合意があるかのように装うための小細工に過ぎない。
 自民党は「検証」項目として必要性、需要予測、安全性等を挙げているようであるが、
これらを含む重要な問題項目すべてにわたって、われわれは既に、空港反対訴訟において
も詳細に「検証」済みである。由民党が今頃になってあらためて「検証」を提案するよう
なことは、同党県議たちを始めとして彼らは今まで、県民の立場で事業内容を「検証」し
て県民に伝え県民合意を確かめることなく、県を盲信し独断的・無責任に事業推進に協力
してきたことを自白するようなものであり、知事があっさりとこの提案に乗ることも同罪
である。
 今後、もし「検証委員会」の設置が検討される場合は、検証項目の挙げ方、委員等の構
成、調査と審議の方法、結論の出し方などについてすべて公正が確保されるとともに、県
民に対し、審議その他作業の内容につき、逐次、全面的に情報が公開されなければならな
い。これらを一つでも欠くならば、「検証委員会」は単に、県による既成事実を追認し正
当化するための「隠れ蓑委員会」「御用委員会」の役目を果たすものに成り下がる危険が
きわめて大きい。われわれはそのような「検証委員会」は断固として拒否する。
 われわれは、不公正な「検証委員会」が設置される場合は、その偽りの正体を暴くとと
もに、良識ある県民の立場に立った「市民による検証委員会」を設け、空港訴訟の過程に
おいても明らかにした各種の多面的な情報等を含め、御用機関のお手盛りでなく科学的で
正確な検証結果を提供する学習宣伝活動を、さらに広く活発に展開する。

5.われわれは工事の再開を阻止するための法的措置を準備している。

 われわれは当面、知事が公約した「住民投票実施までの新規工事の中止・凍結」の方針
が厳守されるように、今後の事態の推移に応じて、住民監査請求の提起、それが棄却され
た場合における提訴その他法的に可能なあらゆる手段を尽くすべく準備を進めているp
 これらの行動については、今後、住民投票直接請求に参加した人々など多くの県民が参
加されるように呼びかけていく方針である。